うーん、何というか…POGに対する姿勢が問われたようなドラフトでした。ひと言で表現するなら「失意」でしょうか。
 今年のドラフトに向けては、十分な時間は取っていたと思うものの、どこかフワフワしている部分があったんですよね。POG本を読んでいても、頭にスッと入ってこない。当日の戦略についても、例年はA・B・Cパターンと細かく想定してリカバーが利くようにしていたものの、今年はそこが甘く、動揺に動揺を重ね…。
 とまぁ…猛省する部分が多々あり、甘く考えていた所は考えを変えねばなりません。他のオーナーたちも以前に比べて明らかに情報を持っていますし、早め早めに使う意識が強まっているのも認識できました。
 反省点を書き出すとキリがありませんが、今週末からは新シーズンが始まり、指名馬たちも続々と晴れの日を迎えます。紆余曲折あれど、決まった20頭たちを全力で応援することに意識を切り替え、1年間を戦い抜きたいと思います。例年に比べてドラフトが後倒しになったこともあり、指名理由を書く時間も限られました。サクサクっとリズムよく、そしてポジティブに書き進めていきたいと思います。

 サトノレイナスのハズレ1位になりますが、当初は母アイムユアーズの繰り上がりか母ヒストリックスターの繰り上げを想定。しかしながら、当日は何故か本馬をチョイスしたんですよね。ここからドラフトの誤算が始まる事になる訳ですが、振り返ってみても謎なジャッジを下しました(苦笑)。
 しかしながら、この馬自身は完璧に近いプロフィールの持ち主。GI馬の下というのは勿論、Gallop丸ごとPOGの表紙を飾るほどの前評判、さらに金子オーナーがこの価格を出した上で明らかに『凱旋門賞を意識』した馬名を付けた点を含めると1位に相応しい存在なのは間違いありません。近年は早期始動の1位指名が多かったので、久々の“大物枠”でのドラ1。秋の東京を楽しみにしています!

 この世代の中で最も欠点が少ない牝馬だと評価しています。この馬は年明けの時点で一口馬主界隈から評判が流れていて、POG本のリップサービスではなく、クラブのレポートも上々。走るディープ牝馬らしい皮膚の薄さ、しなやかで柔らかみを感じるフットワークを見ていると、クラシックに名乗りを上げるどころか、主役の座を狙うことも十分に期待できそう。この馬のおかげで、戦力的にも致命傷を負わずに助かったとさえ思っています。

 巷の“モーリス四天王”の1頭。母にGI馬を持つ馬たちと肩を並べているのは、この馬が持っている素質の表れでしょう。それを示すように、6/3にルメールを背に行った追い切りは“圧巻”の一言。さすがダイナカール一族、搭載しているエンジンは最高級品だと改めて認識できました。デビュー戦はもちろん、半姉の分まで無事にクラシックの本番まで駆け抜けてもらいましょう。父の初年度産駒を牽引し、血統表に名を刻むような活躍を夢見ています。

 半姉のダーヌビウスに続き、2年連続の指名。モーリス産駒のデビュー戦を任された立場ですが、牧場サイドからもオープニングの必勝を宿命付けられているのは間違いありません。まずは「父の産駒、初出走初V」のニュースで名乗りを上げ、重賞やGIの際にはもっと大きな見出しで新聞を賑わせてもらいたいです。そして、初戦と同様に阪神のマイルが似合うような存在になってくれればと思います。

 スワーヴリチャード以来の指名になるわけですが、この父との配合を心待ちにしていました。兄やナスノシンフォニーを指名した際にも書きましたが、「ハーツクライ×Unbridled’s Song」の配合はもはや鉄板中の鉄板! それに加え、体質や気性面に不安があった姉でさえ期間内に2勝目を上げることが出来た点を考えても、母のポテンシャルを疑う余地はありません。POG初期からお世話になった藤沢先生と挑む最後のシーズン、この馬とともに府中の2400mを狙っていきたいと思います。

 これまでのドラフトでは、指名馬と同じデビュー戦を予定している馬は避けるようにしていました。この馬の場合もドナウエレンを選択した以上、見送るつもりでしたが、さすがにこの順位まで残っていれば…。この世代、素質馬が集まる須貝厩舎の中でも前評判はピカイチですし、何よりバゴ産駒とノーザンは驚愕の相性を誇ります。先生は「ダービーを目指せる」と豪語していますが、まずは野路菊Sや萩Sあたりを足掛かりにしていけたら(笑)。

 今年のドラフトは、ほぼラストシーズンのディープ産駒への人気も相変わらずのものがあり、特に牡馬で移動が早かった馬はバブルの状態。そんな中、7位でこの馬を指名することが出来たのは“成長待ち”で当初から秋デビューを見据えていたからでしょうか。4月頭の取材段階では「夏を越してから」という評価だったものの、最新の情報では「体重も30キロ増え、前倒しで本州へ移動」との一報が。牧場サイドが描いていた以上に、ここに来てグンと良くなってきたのは朗報ですし、何と言っても里見オーナーへ“補填”で割り振られた馬。中途半端な成績は似合いませんし、一気に頂点を目指していきたいです。

 個人的な馬体の好みは、ダイワメジャーのような筋肉モリモリで重戦車のようなタイプ。過去に一口で出資してきた馬たちも同様ですが、今年の指名馬の中で“ベストルッキングホース”の称号は、この馬に授けます。姉のラッキーライラックも500キロを超えるパワフルな馬体の持ち主ですが、姉同様に筋肉一辺倒じゃなく“しなやかさ”を兼ね備えている点は量産型のメジャー産駒にはない部分。坂路を駆け上がる走りもスピード感に溢れていましたし、牧場サイドが出した「世界を狙う」というコメントに乗っかってみたいですね!

 相変わらず人気の中内田厩舎。以前に比べ、明らかに牡馬の大物タイプがラインナップに入ってきていますが、個人的には獲るなら“早い馬”に越したことはないと思っています。中距離に色気を出さずに、初戦から千四を使うという点も好印象。得意の新潟2歳Sを確実にモノにしてもらい、暮れのマイルへ。その後は募集価格(1.2億)に恥じないような実績を作り上げて欲しいと思います。馬名は「少し狙いすぎだな」…と思っていましたが、今は慣れて好きになりました(笑)。

 思い出すのは、昨年9月のキャロット募集馬ツアー。最初に訪れた展示場でとても良く見えたのが、この馬でした。気性が心配される一族にも関わらず表情は落ち着き払っていましたし、良い意味で皮膚がとても薄かったんですよね。最終的に申し込みはしなかったのですが、入厩後の評判、そして兄の走りを見る限り素質があるのは間違いなさそう。古馬になって更に一段階、成長する血統ですが、気の良さで2歳戦からも力を発揮できる点も魅力的。阪神2週目の新馬から、一族得意の洋芝で札幌2歳Sを狙うイメージを描いています。

 この世代のディープ牝馬はサイズ的に心配な馬も多く、この順位まで来ると目ぼしい馬は残っていない状態。個人的にも小柄な牝馬はPOGでは狙わないポリシーですが、それ以外の要素に惹かれて指名しました。近年はノーザンと水を開けられていた社台ファームでしたが、坂路改造1年目だった3歳世代のディープ産駒の成績には希望が見えてたと感じています。特に国枝、角居、友道、藤原英と一流厩舎入りした社台RHの馬たちは続々とオープン入り。この馬もサイズだけが懸念ですが、既に入厩済ですし、矢作先生の手腕でしっかり素質を開花してもらいたいと思います。

 この馬のことは鮮明に覚えています。昨年のキャロット募集馬ツアーで最も良く見え、同行したマルオーナーは勿論、でぃーぷオーナーLINEで“オーラ”を報告したほど。「バツ1」の最優先権を持っておらず申し込みすら叶わなかったものの、入厩後の初時計を聞いて「やはり…!」と確信に変わりました。そもそも母の産駒は非常に分かりやすく、キンカメとの配合では全馬オープン入りし、それ以外は条件馬。父の産駒も実質ラストシーズンになりますし、最後の大物誕生の予感が漂います。

 毎年人気の母ゴールデンドックエー。個人的には初めてお世話になります! 母の仔は前評判の割には…という成績でしたが、この世代のリストを作り始めた当初から「育成がノーザンに変わる」というだけで注目をしていました。更にクラブもG1からサンデーになる点に心強さを感じています。本格化は古馬になってからでしょうが、初秋のデビューを狙えそうなほど順調ですし、池江厩舎得意のきさらぎ賞(来年は京都ではないけど…)を足掛かりに本番に名を連ねていけると感じています。

 この世代のキャロットの馬は逸材揃い、今回は3頭が指名馬に加わりました。この馬はツアー時に印象が残っていたわけではないですが、自分の周りでは人気になっていて、当然のように一次で即満口。そして、その後の評判を聞くごとに「皆さん、見る目があるなぁ…」と驚いていました。デビュー戦で千二を選択したのはスピードに自信があるからなのは勿論ですが、中4週で函館2歳Sへ狙いを定めているからでしょう。3頭がお世話になることになったミキオ厩舎の先陣を切って、華々しいデビューを期待しています。

 毎年恒例の「函館2歳S狙い」枠。14位のモントライゼは阪神デビューですが、函館の新馬から直接参戦するストレート組の役割を、この馬に託しました。逸材揃いのフランケル産駒の中では、洋芝への適性や単純なスピード、仕上がりを考えると、かなり計算できそうな1頭。初戦から武豊Jにオファーを出した点も魅力的。モントライゼ&モンファボリの「モンモン」コンビで、この夏に大暴れと行きましょう!

 ここまでのラインナップを見渡した際に、牝馬は確実性が高い馬が多い一方、スケール感が少し薄いと感じたため、大物牝馬枠として指名しました。現役時代が短かった母ですが、無事であればGIをその後も何勝しても…と思わせるような走りを魅せてくれました。この馬は初仔に関わらずサイズ感も十分あり、ドラフトの直前にはグングン状態を上げ、母同様に力強い動きに変わってきたとの事。抜群のスピードで後続に影すら踏ませない、母を彷彿とさせる走りを見せて欲しいと思います。

 いやぁ、この馬の調教は何度見ても「すげぇ…!」の一言。とにかくまぁ、動きまくっていますよね。例年以上に早期始動の馬たちに人気が集まった印象がある今年のドラフトですが、この馬がスルーされていたのは、厩舎・マル外牝馬・ダート馬といった辺りでしょうか。黒岩厩舎に関しては「頑張って!」とエールを送るしかないですが、古馬を軽く煽るような動きやタイムを見る限り、とんでもない大物の誕生の予感も漂います。父の産駒も世界では芝でも走れていますが、個人的には常識破りの活躍を期待。ベールを脱ぐ日が楽しみで仕方ありません。

 とりあえずミスプロを持っておかないと話にならない父の産駒。それに加えて、好相性のサドラーを含み、母系から「早さ」と「速さ」を受け継いだ点を考えると、間違いなく成功パターンに当てはまるのが、この馬です。UMASAMURAI初年度に3冠を獲らせてもらった父から活躍馬を指名することは未だ出来ていませんが、同じオーナー、そして同じ池江厩舎に所属するということでバックボーンは完璧。再評価されている父ですが、種牡馬としての名声を更に引き上げるような存在になってもらいたいです。

 昨シーズンは、サトノフラッグ、サトノインプレッサと100%の確率で重賞馬を引き当てた里見オーナーの所有馬。個人的には社台F生産馬からヒットを当てたことが今後の刺激に繋がりました。情報が少ないこの馬ですが、厩舎が厩舎なだけに前評判が聞こえてこないのは仕方のないところ。但し、オーナーのインタビューでも順調かつ素質を感じられるコメントがありましたし、動画でも軽めながら首を使った良いフォームで走れているのを確認できました。あまりにも未知の部分も大きいですが、19位のここは場外ホームランを狙いましょう!

 来年2月に解散する、角居厩舎。これまでに残した実績や手掛けた馬たちの顔ぶれを眺めていると、近年の競馬史に欠かせない名伯楽だったと改めて実感します。最後に預かる4頭の中でも、角居厩舎を指名する際に重要なファクターだった“早期ゲート合格組”かつ、強固なラインだった島川オーナーが所有するこの馬を選択しました。クラシックまで一緒に歩むことは出来ませんが、願わくば年末の阪神か中山で最後のタイトルを勝ち取ってもらいたいです。

 というわけで…最後までご覧いただきありがとうございました。
 今シーズンは例年以上に、指名できた縁を大切に…そして、ラストウィークの大まくりで逃したタイトルを再び勝ち取りたいと思います!

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